導入 「補助金コンサルって本当に必要なの?」と迷う経営者は多い
補助金に挑戦したいけれど、申請書が難しそう、締切も近い。
そんなときに浮かぶのが「コンサルに頼むべきか?」という悩みです。結論から言うと、補助金コンサルはお金で時間と採択率を買うサービスです。必要かどうかは、①投資額の大きさ ②社内の手の空き具合 ③締切までの余裕、の三つで判断すると迷いません。
この記事では、コンサルが実際にしてくれること(書類作成の伴走・採択されやすい書き方の助言・手続きと期限管理)、使うメリットとデメリット、自力申請との違い、どんな会社に向いているか、そして失敗しない選び方を整理します。
不正申請を勧める悪質業者の見分け方にも触れます。読み終える頃には、「うちは頼む/自分たちでやる」の判断が自信をもってできるはずです。
補助金コンサルとは?依頼すると何をしてくれる?

ひと言で言うと補助金コンサルは、設計士(計画の筋を作る)× 通訳(審査員の言葉に直す)× 工程管理者(期限と証憑を外さない)です。
魔法の文章ではなく、要件に合う事業計画を、採択されやすい形に整え、期限通りに出し切るのが仕事です。
申請書類の作成支援(“書く前の設計”が9割)
3ステップで迷子を防ぐ
- 要件適合の確認
対象事業か/対象経費か/賃上げ・付加価値などの条件は満たせるかを最初に判定。 - 筋書きづくり(審査項目マップ)
「現状の課題 → 解決策(設備/IT)→ 収益の変化 → 体制・スケジュール → リスク対策」を、審査項目(有効性/実現可能性/費用対効果/政策適合)に対応づけて章立て。 - 数字の裏づけ
売上・原価・回収期間、KPI(不良率↓・処理時間↓・客単価↑など)をグラフ・表で提示。
OK/NGの書き換え例
- NG:「生産性が上がります」
- OK:「段取り18分→11分(−39%)、1日8ロット→11ロット。月◯時間の残業削減」
会社側が準備する最低限
売上・原価の現状数字/見積(2–3社)/導入後の運用方針/写真や図(Before)
コンサルの成果物
申請ドラフト/数値計画シート/審査項目マップ/添付チェックリスト
採択率を高めるアドバイス(“審査員が知りたい順”で語る)
勝ち筋の型(覚えやすい3点)
- 誰の・どの不便が(顧客or現場の具体)
- どの手段で(設備/IT/プロセス)
- どれだけ良くなるか(%や時間、金額で)
費用対効果は“お金の言葉”で
- 粗利:「不良率2%→0.8%で年間原価◯万円削減」
- 売上:「月産11ロット化で年◯件増産=売上◯万円」
- 回収:「投資◯万円/回収◯カ月」
よくある失点→事前に潰す
テンプレ文章流用/対象外経費の混在/根拠のない数字/採択前発注
KPIで進捗管理
差戻し回数/修正依頼の件数/ドラフト完成までの日数/添付不備ゼロ
手続きや期限管理のサポート(“申請後こそ本番”)
全体タイムライン(例)
- 公募開始 → 申請締切 → 採択発表 → 交付申請/決定 → 発注/納品 → 実績報告 → 入金
※各工程で「必要書類・担当・期限」をToDo化(Googleカレンダー共有推奨)
絶対NG(ここで不採択・不支給になりがち)
- 採択前の発注・支払い
- 見積1社のみ/仕様変更の事後報告
- ロゴ表示・帳簿保存のルール違反
証憑の“迷子”を防ぐフォルダ設計(例)/補助金_案件名/01_申請/02_交付/03_発注_納品/04_実績報告/95_証憑(請求・納品・検収・振込)
ファイル名は**「日付_取引先_金額_書類種別」**で統一。
役割分担(要点だけ)
項目 | コンサル | 会社 |
---|---|---|
要件判定・章立て | 主担当 | 意思決定 |
文章・図表 | 主担当 | 事実・数字提供 |
見積・仕様 | 指示・雛形 | 取得・承認 |
電子申請 | 同席支援 | 最終提出(本人) |
交付/実績報告 | スケジュール・様式 | 証憑発行・保管 |
補助金コンサルを使うメリット

コンサルは、ただ文章を書いてくれる人ではなく、審査ロジックに沿って“要件適合×根拠”を組み立て、期限までに事故なく通す伴走者です。採択率・工数・リスクの3点で投資回収が見込めます。
採択率が高まる —— 審査ロジックに“当て込み”と“根拠”を実装
審査は 加点(政策適合・波及・賃上げ等)− 減点(不備・対象外・根拠薄) の勝負です。
コンサルはここを構造化します。
- 要件適合マップ:対象事業/対象経費/加点条件を表で適否判定 → 不採択リスクを初期に排除
- 根拠の三点セット:①現状と課題(データ)②解決策(仕様・費用)③効果(生産性・回収期間)
- 審査項目別の章立て:有効性/実現可能性/費用対効果/政策適合の見出しで“採点しやすい”構成に
本業に専念できる —— “書類作業”を丸ごと分業
申請〜交付〜実績報告までのべ30–60時間を食います。分業すれば、社内は事実と数字の提供に集中できます。
タスク | コンサル | 会社 |
---|---|---|
公募要領の要件整理・章立て | 主担当 | - |
ドラフト作成/図表化/校正 | 主担当 | - |
数値計画(生産性・回収)の雛形 | 主担当 | - |
事実・数値提供(売上/原価/見積) | - | 主担当 |
見積徴収・仕様確定の意思決定 | 支援 | 主担当 |
電子申請・交付・実績報告の期限管理 | 主担当 | 最終承認 |
副次効果:申請のために棚卸した数字が、来期の事業計画・投資判断の共通言語になります。
最新情報を入手できる —— “現場知”で事故を未然に
制度は公募ごとに細かく変わります。現場で蓄積された運用ノウハウが効きます。
- 加点の勘所:賃上げ・地域連携・GX/DXの書き分け
- 対象外の落とし穴:リース形態、クラウド費の按分、改造扱い、相見積の要件
- 工程リスク:採択前発注禁止、軽微変更/仕様変更届、実績報告の証憑そろえ方
成果: 書けたのに不支給を防止/交付〜実績報告での差し戻しゼロを狙える。
成功報酬型で初期費用が軽い —— キャッシュとリスクを管理
多くは成功報酬中心(事務所により、着手金の有無・割合・分割条件は異なる)。
- 資金繰りに優しい:不採択時の支出を抑制(※契約条件要確認)
- 費用=成果連動:補助額に比例する報酬設計が一般的
- 判断がしやすい:自社工数(30–60h)の時給換算 vs. コンサル費で費用対効果を比較
契約チェック3点:
①成功報酬の定義(採択時/交付決定時/実績報告完了時)
②不採択時の費用(ゼロ/実費のみ等)
③追加業務の範囲(電子申請・交付・実績報告のどこまで?)
メリットのまとめ
- キャッシュ管理:成功報酬中心で初期負担を抑制(契約定義は要精査)
- 採択率:審査ロジック準拠の章立て+根拠資料の実装で上振れ
- 工数削減:社内30–60hを圧縮、経営層は意思決定に専念
- 事故防止:対象外経費・発注タイミング・証憑不備の“地雷”回避
補助金コンサルのデメリット・注意点

頼む前にここだけ押さえれば、痛い失敗はほぼ防げます。弱点を可視化 → 契約で担保 → 自社の戦略に合致、の順で判断しましょう。
手数料(成功報酬)が発生する
相場の目安
- 料金体系:着手金0〜数十万円+成功報酬(交付決定額の10〜20%目安)
- 最低報酬の有無/採択時点 or 交付決定時点 or 入金時点が成功の基準かで総額が変わります。
- 申請後の交付申請・実績報告に別費用が付くケースも頻出。
1分クイック計算(手残り感を把握)
実質手残り = 交付額 - 成功報酬 - 自己負担(対象外・持ち出し分)- 立替負担(入金までの資金コスト)- 自社工数
→ 数字にして採択後に本当に得かを先に確認しましょう。
見積前に必ず聞く10問
- 成功の定義は?(採択/交付決定/入金)
- 成功報酬の率・最低金額・上限は?
- 着手金・実費・再申請費の有無は?
- 申請範囲:骨子作成/事業計画/見積収集/電子申請どこまで?
- 採択後:交付申請/実績報告/証憑整理は含む?
- 納期:社内レビューは何日前に?
- 連絡手段・レスポンスSLA(◯営業日以内)
- 不採択時の費用負担は?
- 守秘とデータの扱い(NDA・保管期間)
- 他社事例の公開可能な採択実績(制度名・年度・件数)
契約条項テンプレ(抜粋)
成功報酬は交付決定通知の発出をもって発生し、交付決定額の◯%(最低◯万円/上限◯万円)とする。不採択時は成功報酬を請求しない。交付申請・実績報告の支援費は別紙見積。再申請は双方協議の上、個別合意する。
悪質コンサル(丸投げ・不正申請)に注意
要注意サイン
- 「全部丸投げで1週間」「採択率90%保証」
- 「相見積り不要、このベンダーで」
- 「対象外の費用も入れられます」と示唆
→ いずれも不正・交付取消のリスク。最終責任は申請者(あなた)。
確認ポイント
- 実績:制度名・年度・件数など公開可能な採択実績を提示できるか
- 体制:ヒアリング→骨子合意→執筆→社内レビューの工程が文書化されているか
- 倫理:不正関与時の即時解除/報酬返還条項が契約に入っているか
- 透明性:相見積り取得を妨げない(経費の適正化)
役割分担(RACIの最小形)
工程 | 申請者 | コンサル |
---|---|---|
事業方針・数値提示 | R/A | C |
骨子作成 | A | R |
申請書ドラフト | C | R |
見積収集・整合 | R | C |
電子申請 | A | R |
交付・実績書類 | A | R |
- R(Responsible)実行責任者:手を動かす担当。複数OK
- A(Accountable)最終責任者:結果に責任を持つ人。基本1名
- C(Consulted)助言者:専門的な相談相手(双方向のやり取り)
- I(Informed)報告先:結果だけ共有(片方向)
丸投げはNG。 申請者が“責任者(A)”の工程を必ず持つ。
契約の安全弁(抜粋)
双方は虚偽・不正行為を行わない。不正を助長又は指示した場合、依頼者は無催告解除し、受領報酬の全額返還を請求できる。
自社の戦略に合わない補助金を勧められるリスク
よくあるミスマッチ
- 補助率の高さに釣られて、本来やりたい投資から逸脱
- 事業期間・報告義務が重く、運用負荷>補助メリット
- 補助後の保守費・人件費で赤字化
Go/No-Goの5ゲート(通らなければ見送る)
- 補助金なしでも採算が合う(回収期間・ROI)
- 資金繰りOK(立替→入金まで耐えられる)
- 要件適合(対象経費・相見積・事前着手NGクリア)
- 期間内に発注〜検収〜支払いまで完了できる
- 補助後の維持費を継続負担できる
優先度マトリクス
- 高戦略適合 × 高補助率:最優先でGO
- 高戦略適合 × 低補助率:規模を絞ってGO
- 低戦略適合 × 高補助率:原則NO(逸脱)
- 低戦略適合 × 低補助率:見送り
依頼の正しい順番
「制度ありき」ではなく、事業計画 → 合う制度を当てる。初回提案でやらない理由・リスクも明示してくれるコンサルを選ぶ。
デメリットのまとめ
- 実質手残りを数値化(クイック計算済み)
- 成功の定義/料率/最低・上限が契約に明記
- 交付・実績報告の費用と範囲が明文化
- 相見積り可の姿勢/見積の入手支援あり
- **採択実績(公開可能な証跡)**が提示された
- RACIで自社の責任工程を保持
- 不正関与の解除・返還条項を入れた
- 5ゲート(採算・資金繰り・要件・期間・維持費)を通過
自分で申請する場合との違い

自力申請=外注費はゼロだが時間コストが重い/コンサル活用=費用はかかるが“時短+合格しやすい型”を買う。
社長や担当者の「時間単価」で比較すると判断が速くなります。
自力申請はコストゼロだが時間が重い
自力申請はお金は浮くが、読む・書く・整えるに相当な時間が要る。
- 代表的な作業と目安工数(合算30〜80h)
- 要項読み込み・要件整理:6h
- 計画骨子づくり(現状→課題→解決策→効果):10h
- 見積・相見積・根拠資料集め:8h
- 申請書ドラフト/加筆修正:20h
- e申請、添付・様式整え、差戻し対応:6h+α
- つまずきやすい点
- 採点観点(加点要素・NG経費)の“言語化”が難しい
- 期日・様式・証憑ミスが一発不採択に直結
- 向くケース:小規模・投資が小さい/締切まで余裕/書類に強い人材がいる
コンサルは“時短と成功率”を買う
コンサルは自社工数を圧縮し、採点者が読みやすい勝ちパターンに整えてくれる。
- 自社側の負担:10〜25h程度(ヒアリング・数値提供・確認が中心)
- 期待できる価値
- 採点観点に沿った構成・見出し・図表の型化
- NG経費・事前着手・相見積不備など地雷回避
- 期限管理・電子申請・採択後の実績報告までの伴走(プランによる)
- 費用感の目安
- 成功報酬:補助額の5〜15%(+着手金のことも)
- 採択保証ではなく、確率を高める支援という理解が安全
- 向くケース:少人数でバックオフィス兼務/投資規模が大きい・落とせない/締切が近い
小規模事業者は本業との兼ね合いで決める
依頼判断基準
- 申請に割ける純時間が30h以上ある? → NOなら外部化寄り
- 投資規模が500万円超? → YESなら外部化寄り(落ちコストが大)
- 社内に前回の合格テンプレがある? → NOなら初回は外部化で型づくり
ミニ計算式(期待値で比較)
- 自力の機会費用 =(社長の時給×見込時間)+(担当の時給×見込時間)
- コンサルの費用 = 成功報酬(+着手金)
- 採択の期待便益 =(想定補助額×採択確率)− 立替負担 等
第3の選択肢:ハイブリッド
自社ドラフト→スポットでプロに合格チェックだけ依頼。
費用はフル伴走より抑えつつ、落とし穴も回避しやすい。
まとめ(超要点の対比表)
観点 | 自力申請 | コンサル活用 |
---|---|---|
外部費用 | 0円 | 成果報酬 5〜15%(+着手金) |
自社工数 | 30〜80h | 10〜25h |
合格の作法 | 自前で学習 | 合格の型を適用 |
リスク管理 | 期日・様式ミスの自己責任 | 地雷回避を並走 |
向く場面 | 小規模・余裕あり | 投資大・人手不足・期限タイト |
代替案 | — | スポットレビューで中間解 |
補助金コンサルはどんな企業に必要?
次のどれかに当てはまれば、コンサル活用のリターンが出やすいです。
① 時間がない ② 書類が苦手 ③ 今回だけは落とせない
30秒診断(YESが2つ以上なら依頼検討)
- 締切まで4週間以内/社内で使える時間が30時間未満 (YES/NO)
- 申請は初挑戦or過去2回以上 不採択(YES/NO)
- 投資額が500万円超で採択必須(設備・IT導入など)(YES/NO)
- 事業計画を数字(KPI・回収計画)で説明できない(YES/NO)
- 申請後の実績報告や精算に不安がある(YES/NO)
書類作成に慣れていない企業
- 企画書は得意だが、審査観点に沿った事業計画(数値)が書けない
- 必要書類(見積・体制図・収支計画・根拠資料)の抜け漏れが出がち
任せると何が変わる?
- 審査が読みやすい型に落とし込み(課題→解決→投資→成果→波及)
- 根拠セット(市場データ・見積の整合・KPIロジック)を整備
- 差戻しの芽(様式・添付・記載NG)を事前に潰す
費用対効果の目安
- 補助額300万円 × 成功報酬10%=30万円
- 自力:60h × 社内時給7,000円=42万円相当 → 外部化の方が安いケース多め
少人数でバックオフィス兼任の企業
- 社長/現場リーダーが営業+人事+経理を兼務
- 決算・請求・繁忙期と締切が重なる
任せると何が変わる?
- 自社工数が30〜80h → 10〜25hに圧縮(ヒアリング中心)
- 期限管理・電子申請・差戻し対応を並走
リスク回避
- 「期日遅れ」「電子申請の詰まり」「証憑不足」をプロのチェックリストで防止
投資規模が大きく“絶対に採択したい”企業
- 500万円〜数千万円の設備・IT投資が不採択だと計画が1年遅延
- 銀行・株主・親会社への説明責任がある
任せると何が変わる?
- 採点観点に沿った勝ち筋で仕上げ、NG経費・事前着手など致命傷を回避
- 相見積・体制・KPIを監査に耐える水準でセット
早見表:自力/スポット/フル並走の使い分け
状況 | 自力申請 | スポットレビュー(仕上げだけ) | フル並走(企画〜実績報告) |
---|---|---|---|
時間に余裕 | ◎ | ○ | △ |
締切タイト(≤4週) | △ | ○ | ◎ |
申請初めて | △ | ○ | ◎ |
投資規模が大 | △ | ○ | ◎ |
社内の書類力 | 高 | 中 | 低 |
依頼前に整えておくと効果が上がる3点
- 投資の骨子:何に・いくら・いつまでに・何が増える(KPI)
- 数字の仮置き:売上・原価・回収期間・人員体制(粗くてOK)
- 見積の当て:主要ベンダーの候補と概算
ここまで準備して渡すと、コンサルの作業が減り、費用も精度も最適化されます。
失敗しない補助金コンサルの選び方

まずは ①実績の透明性 ②料金の明確さ ③自社への適合度 の3軸で書面を確認。
「人柄」ではなく証拠と定義で比較しましょう。
実績公開があるか(採択率の“定義”までセットで確認)
確認チェック(書面でもらう)
- 制度別・直近1–2年の実績:申請件数/採択件数/採択率の分母(申請数)・分子(交付決定)・期間
- 代表事例3件:事業内容・投資額・所要月数・コンサルの担当範囲(企画/申請/実績報告)
- 証跡:個人情報マスク済みの採択通知/交付決定の写し
そのまま使える依頼フレーズ
「直近1年の制度別で、申請数/採択数/採択率の定義、代表事例3件をPDFでお願いします。」
避けるべき特徴
- 採択率90%など分母不明の数字だけ
- 古い年度や他社案件を自社実績のように提示
- 事例が制度名のみでKPI(売上・生産性)不記載
料金体系が明確か(着手金・成功報酬・範囲・起点)
見積に必ず入れる5点セット
- 料金形式:完全成功/着手+成功/定額+成果
- 成功報酬の起点:採択通知/交付決定/入金時
- 作業範囲:①要件整理 ②計画書 ③電子申請 ④実績報告 ⑤変更申請 ⑥再申請
- 追加費用トリガー:規模増・期限超過・再訪問・翻訳・旅費 等
- キャンセル・不採択:返金/再申請割引の有無・率・期限
契約文への差し込み例(抜粋)
- 「成功報酬の発生条件は交付決定日とする」
- 「本契約に含む作業は①〜⑤、実績報告は成功報酬内。変更申請は都度見積」
- 「不採択時は着手金◯%返金/次回公募は成功報酬△%」
避けるべき特徴
- 実績報告が別料金なのに小さく記載/口頭説明のみ
- 前金全額・返金規定なし
自社にあった補助金を選んでくれるか(提案の質で見る)
初回提案で欲しい3点
- 制度比較1枚表:上限額/補助率/対象経費/締切/難易度/想定スケジュール
- 適合理由:自社の目的・規模・KPI・人員・期日とどう合うか
- リスクと代替案:不採択時の次回公募、他制度、段階投資案
ヒアリングで出るべき論点
- 事業のKPI(売上・粗利・生産性)と回収計画
- 相見積要件/NG経費/事前着手NGの説明
- 体制図(誰が何をいつまで)と工数見積
避けるべき特徴
- 単一制度の一点推し、ベンダー固定、不正誘導(水増し・後追い領収書)
使えるテンプレ①:ベンダー比較スコアカード(配点例)
評価軸 | 指標 | 配点 | A社 | B社 | C社 |
---|---|---|---|---|---|
実績の透明性 | 制度別:申請/採択/定義/証跡 | 10 | |||
料金の明確さ | 起点・範囲・追加費用・返金規定 | 8 | |||
適合度(FIT) | 目的/規模/期日/体制/コンプラ(各1点) | 5 | |||
伴走力 | 実績報告・変更申請までの対応 | 4 | |||
コンプラ | 利害相反開示・誓約書 | 3 | |||
合計(30点満点) | 30 |
FIT 5軸チェック(各1点)
目的|規模感|締切に間に合う体制|社内工数の軽減度|ガイドライン順守
使えるテンプレ②:初回依頼メール(コピペ可)
件名:補助金支援の実績・お見積りのご提示依頼
① 直近1年の制度別:申請数/採択数/採択率(定義つき)、代表事例3件(範囲と所要月数込み)
② 料金:成功報酬の起点、作業範囲(実績報告含む/別)、追加費用トリガー、返金規定
③ 提案:当社概要(目的/規模/期日)に対する制度比較表と適合理由、不採択時の代替案
返信期限:◯/◯(◯) 17:00
まとめ(選定の合言葉)
- 数字の根拠が書面で出るか
- 最後まで(実績報告まで)伴走するか
- 自社のKPI・期日に“本当に”合うか
この3つをスコアカードで並べれば、迷わず決められます。
まとめ
補助金コンサルは一言でいえば「時間と勝率を買うサービス」です。
補助額が大きい(例:300万円超)、締切が迫る、社内に書類づくりの余力がない。どれかに当てはまるなら依頼の価値があります。判断はシンプルに期待値でOK:〔(補助額 × コンサル活用での採択率上乗せ)-(成功報酬+社内工数)〕がプラスなら依頼、マイナスなら自力か最終チェックだけの部分外注に留めましょう。
選ぶときは「制度別の申請数・採択数を数で公開」「着手金と成功報酬の起点(交付決定か否か)が明確」「実績報告まで伴走」の三点が揃う会社を基準にし、逆に「採択率だけ強調して分母を出さない」「丸投げ推奨・水増し示唆」「実績報告が別料金で不透明」は赤信号です。
契約前に業務範囲・成果物・スケジュール・成功報酬の起点・守秘と不正防止を文面で確定し、今日できることは①目的・補助額・締切・社内人時をA4一枚に整理、②同条件で3社に見積と提案依頼、③上記基準で採点して一本化。これで迷わず、速く、失敗しない判断ができます。
当ブログでは、このほかにも採用や財務に関する記事を掲載しています。ぜひ参考にしてみてください。
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