入社初日は、会社と新しい仲間が最初の約束を共有する日です。ここで段取りが揃っていないと、その後の回収や説明やり直しに何倍もの手間がのしかかります。
このチェックリストは、担当者が誰でも同じ順番・同じ言葉で進行できるよう設計しました。初日が終わる時点で「自分で打刻できる」「連絡手段が定まり、緊急時の窓口が分かる」「業務ツールに支障なくログインできる」「必要書類と貸与品が台帳に記録されている」「翌日にやるべき初回タスクが一つ決まっている」という状態をそろえることが目標です。
到着前の準備から15分のオリエン、午前・午後の実務、終業前のクロージングまでを一本の流れにしているので、当日の朝に印刷して読み合わせるだけで迷いゼロの受け入れが実現します。
当日朝までの準備

席・備品のセットアップ(PC/電源/モニタ/椅子・資産番号メモ)
まずは「座ればすぐ仕事が始められる」状態を整えます。ここで準備が不十分だと、以降の説明が遅れがちになります。
- PC・モニタ・キーボード・マウスを設置し、電源・LANまたはWi-Fiを起動確認
- ディスプレイは拡張表示に設定、解像度を調整
- 既定プリンタを設定し、テスト印字を1枚
- 椅子の高さや肘掛けを中庸にし、足元の配線は結束で引っ掛かり防止
- 机上は座席表・内線表だけを置き、SSIDやPWなど機密情報は露出させない
- PCやモニタの資産番号をメモし、台帳転記用の付箋を貼る
チェックポイント:ログインしてテスト印字ができ、主要機器の資産番号を控えている。
アカウントと権限の初期設定(メール/勤怠/チャット/ドライブの仮PW・初期ログイン確認)
初日に多い「ログインできない問題」をここで潰します。二要素認証は必ず設定しましょう。
- メール/勤怠/チャット/共有ドライブへ仮パスワードでログイン→パスワード変更
- 二要素認証を有効化し、バックアップコードも保管
- チャットは全社・部署・総務連絡など基本チャンネルに参加、配布グループ(all@等)に追加
- 勤怠は当日から打刻可能な状態か確認し、締めや修正窓口を周知
- メール署名テンプレを下書き保存
- 上長へメールとチャットを送り、受信確認まで実施
- アカウント台帳に「発行済み/二要素認証/所属グループ/既定プリンタ」を即記録
チェックポイント:主要4サービスでログイン・二要素認証・送受信テストが済み、台帳が更新されている。
入館・来客の導線と社内周知(受付連絡・配属先・歓迎メッセージ)
「どこへ行けばよいか」「誰に聞けばよいか」を迷わせない準備が重要です。
- 入館証やICカードの有効化を再確認し、貸与台帳と紐付け
- 席にミニ案内図(受付→ロッカー→席→会議室→トイレ/休憩所)をA5で設置
- 午前のオリエン/午後のOJTをカレンダー招待
- 社内チャットに歓迎メッセージを投稿(氏名の読み・配属・当日スケジュール・上長/メンター/総務ITの連絡先を添える)
- 到着連絡の窓口を一本化し、受付担当に共有
チェックポイント:入館証が使える状態で、案内図を席に置き、歓迎メッセージを投稿済み、到着連絡の窓口が一本化されている。
書類回収セットの準備(本人確認・振込口座・緊急連絡先・貸与品一覧)
署名漏れを防ぐため、提出順に並べて署名位置に付箋を貼ります。
提出順の例
- 本人確認提示→コピー手順(見えない場所で回収)
- 給与振込口座届
- 緊急連絡先票
- 機密・情報セキュリティ誓約書
- 労働条件通知/雇用契約(2部)
- マイナンバー封緘用封筒(取扱ルールを表紙に明記)
- 貸与品一覧(PC/電源/モバイル/SIM/鍵/名札)+受領サイン欄
加えて、表紙には「回収後の保管場所(施錠キャビネット)」「スキャン先フォルダ(権限限定)」を明記。貸与品は引き渡しと同時に資産番号を記入できるようにしておきます。
チェックポイント:書類は署名位置が分かりやすく、保管・スキャンの行き先も指定され、貸与品台帳の記入欄が用意されている。
初日オリエンテーション

初日のオリエンテーションは長くやるほど頭に残りません。目的は「今日から動ける最小限」を共有すること。ここで扱うのは、勤怠・セキュリティ・仕事ツール・社内ルールの4点だけ。15分に収めることで、本人も受け入れ側も消耗せず、午後から実務に入れます。
勤怠ルールと連絡経路(打刻/休憩/遅刻・欠勤連絡の窓口と文面)
最初に押さえるべきは勤怠。入社当日から記録を残せることが第一です。
- 打刻のやり方:出社・退社・休憩入り/戻りのタイミングを実演(PCやスマホ打刻なら実際に押して見せる)
- 休憩時間のルール:昼休憩は◯時〜◯時、外出や私用は必ずチャットで申請
- 遅刻・欠勤の連絡窓口:誰宛に、どの媒体で、どんな文面で伝えるかを決めておく(例:「おはようございます、体調不良のため本日欠勤いたします。◯◯」をチャットに送る)
チェックポイント:打刻の操作を本人が1回実演できる/連絡先と文面例を見て理解できている。
情報セキュリティの要点(持出し・パスワード・画面ロック・迷ったら報告)
専門的な話は不要。守るべき最低限をシンプルに伝えます。
- 持ち出し禁止:USBや私物クラウドへの保存は禁止
- パスワード管理:パスワードは人に教えない/付箋貼りは禁止
- 画面ロック:離席時は必ずロック、ショートカット(Win+L、Mac=Ctrl+Cmd+Q)をその場で教える
- 報告ルート:怪しいメールや誤送信は、ためらわず「総務」や「上長」へ即報告
チェックポイント:画面ロックの操作を本人がその場で実演できる/報告窓口を即答できる。
仕事ツールの最小セット(チャットの既読・@メンション、共有ドライブの場所、タスクの受け取り方)
ツールは全機能を教えるのではなく、今日から最低限使う部分だけに絞ります。
- チャット:既読マークの見方、@メンションで必ず通知が届くことを確認
- 共有ドライブ:日常業務で使うフォルダの場所を1つだけ教える(「まずはここに保存」で十分)
- タスクの受け取り方:依頼はチャットかタスク管理ツールで届くこと、期限や担当が明記されることを確認
チェックポイント:本人が@メンションを送ってみる/共有ドライブのフォルダを開ける/タスクの例を見て理解できている。
社内ルールの要点(服装・席の使い方・来客対応・ゴミ分別など“暗黙知”の明文化)
最後に「言わなくても分かると思っていた」ことで後から困らないよう、暗黙知を短く伝えます。
- 服装:普段は◯◯、来客予定がある日は◯◯(例:普段はオフィスカジュアル/来客時はジャケット着用)
- 席の使い方:個人荷物は机上に置かない、共有備品は使ったら戻す
- 来客対応:来客が来たら誰に声をかけるかを明確に(例:まずは総務へ)
- ゴミ分別:社内ルールに従い、特に機密書類は必ずシュレッダーへ
チェックポイント:服装・来客・ゴミ分別などのルールを本人が理解し、周囲に聞かれても答えられる。
初日の実務チェック(午前/午後でやること)

初日は「知った」で終わらせず、実際に手を動かして体験できることが大切です。ここでは午前と午後に分けて、必ず押さえたい6つの実務チェックをまとめます。すべて終えれば、翌日から一人で基本動作ができる状態になります。
書類回収と台帳登録(個人情報・緊急連絡・貸与品/署名の有無チェック)
午前最初に行うべきは書類と貸与品の整備です。
- 署名確認:雇用契約書や誓約書に署名漏れがないか、その場でチェック
- 緊急連絡先:台帳へ入力し、災害・体調不良に即対応できるようにする
- 貸与品登録:PC・スマホ・ICカードなど、資産番号を台帳に記録
- 保管ルール:マイナンバーは即封緘→施錠キャビネットへ
チェックポイント:署名漏れがなく、緊急連絡先と貸与品が台帳に登録されている。
IT動作テスト(メール送受信/チャット/プリンタ/ネットワーク)
次に業務インフラが機能するかを必ず実機で確認します。
- メール:上長へテスト送信→返信を受信
- チャット:@メンションを送って通知が届くか確認
- プリンタ:実際に1枚印字、紙詰まりや権限不具合を事前に潰す
- ネットワーク:Wi-Fi接続の安定性とVPNログインを試す
チェックポイント:送信・受信・印刷・接続がすべて確認済み。
勤怠打刻の実演とランチ導線(出退勤・休憩)
勤怠は習慣化が要。初日から一連の流れを本人に体験してもらいます。
- 出勤打刻:朝一で打刻→画面に記録が残るか確認
- 休憩→戻り:昼休憩と復帰を実演、外出パターンもシミュレーション
- 退勤打刻:終了時に打刻、修正申請が必要な場合の窓口も説明
チェックポイント:本人が一連の打刻を自分で操作できる。
シャドーイング or 簡易OJT(今日触る画面だけ)
午後は短時間でも「実務を触る」時間を作ります。
- シャドーイング:先輩が入力する様子を横で見て流れを把握
- 簡易OJT:1件だけ自分で入力や登録を試す
- 基準の明確化:「ここまでできたら合格」「ここで迷ったら質問」というラインを示す
チェックポイント:本人が1件を自力で処理し、基準を理解している。
安全衛生・非常時連絡(避難経路・体調不良時の対応)
トラブル時の行動は初日に必ず共有しておきます。
- 避難経路:非常口と集合場所を実際に確認
- 緊急連絡網:災害や事故時の報告ルートを説明
- 体調不良:休憩室の場所や報告の手順を確認
チェックポイント:避難経路・集合場所・緊急連絡先を本人が答えられる。
Day1クロージング(不具合リスト/翌日のToDo/歓迎の一声)
初日の最後は「問題の洗い出し」と「次につなげる一歩」で締めます。
- 不具合リスト:ログインできない・印刷が遅いなど本人からヒアリング
- 翌日のToDo:マニュアル確認や初回タスクなど、1つだけ明確に提示
- 歓迎の場づくり:写真撮影や簡単な紹介で雰囲気を和らげる
チェックポイント:不具合が共有され、翌日の行動が決まり、本人が安心して帰れる状態になっている。
まとめ
入社初日は「全部を完了させる日」ではなく、やり残しを整理して次に繋げる日です。ここでのゴールは、①未完了を誰が追うか明確にする、②最初の1週間の見通しを本人と共有する、③チェックリストを社内資産にする──この3つです。
未完了項目の繰越リスト(担当・期限・確認方法)
初日では終えられないことが必ず出ます。大事なのは「曖昧に持ち越さない」こと。
- 担当:誰が責任を持つか(例:アカウント開通=IT、名刺発注=総務)
- 期限:いつまでに完了させるか(例:3営業日以内)
- 確認方法:どうチェックするか(例:完了メールを共有/台帳更新を確認)
この3点を1行で書けるリストにしておけば、漏れが発生しません。本人に共有することで「放置されていない安心感」にもつながります。
Day2〜Day7のフォロー計画(名刺手配/メール署名/研修予定/権限不足の洗い出し)
最初の1週間を「フォロー期間」として予定を握ると、安心感が大きく変わります。
- Day2:名刺発注、メール署名を本番設定に差し替え
- Day3:業務マニュアル確認、初回研修(30分でも可)
- Day4〜5:実務で出た「権限不足・操作不明」をメモ→総務/ITで解消
- Day6〜7:1週間の振り返り、次週以降の目標をすり合わせ
「この1週間でどこまで到達するか」を本人と共有することで、不安が減り、定着率も高まります。
総括
入社初日は「すべてを終わらせる日」ではなく、抜け漏れを見える化し、最初の1週間に組み込む日です。
この考え方を守れば、担当が社長でも奥さんでも事務員でも、同じレベルの受け入れができます。
また、このブログではこのほかにも会社のちょっとした困りごと解決するような記事を作成しています。ぜひブックマークして困ったときに見返せるようにしておいてください。
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