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高校生採用必須ルール12選|中小企業が守るべき最新ポイント

採用

もう随分と少子高齢化が進み、中途採用だけでの採用が回らない企業や「サービス業」「建設業」の中にはアルバイトなどで高校生の採用に力を入れている企業も多いのではないでしょうか。

働き手を維持していくためには受け口を広げていくことは当然重要です。

しかし、高校生を採用するためのルール、全て把握できていますか?

私はこれまで何度も高校生の採用、高卒者の採用に力を入れたいという企業様にお伺いしてきましたが、どこにも共通することは、高校生を受け入れるためのルールが追いついていないことでした。

まだ在学中の高校生を採用する場合、かなり特別なルールが存在しており、改めて制度設計をしないと、大きなトラブルになりかねません。

この記事では高校生の採用に特化して、採用時に必須のルールをまとめています。

改めて自社のルールと照らし合わせて、足りない制度を追加してみてください。

採用ルール12

1. 年齢制限・雇用条件

まず初めに、原則として満15歳以上(中学校卒業年度の3月31日以降)でなければ雇用できません。

高卒者を雇い入れようとしている企業であれば問題ないと思いますが、学生バイトを雇い入れている企業はぜひご注意ください。

そして、18歳未満は「年少者」、16歳未満は「少年労働者」として特別な保護対象になります。

2. 労働契約書・労働条件の明示

必ず労働条件通知書または雇用契約書を交付し、就業条件(賃金、労働時間、業務内容等)を明示する必要があります。

「労働条件通知書」…企業側からの一方的な通知【必須】
「雇用契約書」…会社、従業員の双方で締結する契約【推奨】

おすすめは、、両方の役割を兼ねた「労働条件通知書 兼 雇用契約書」を作成する

親権者からの同意書を取得することを強く推奨します(特にトラブル防止のため)。

3. 労働時間の制限

高校生は労働時間に大きな制限がかけられています。

1日8時間・週40時間を超える労働は禁止です。

通常は認められている変形労働時間制も高校生には適応されず、例外なく1日8時間・週40時間を超えてはいけません。

4. 残業・深夜・休日労働の禁止

18歳未満は時間外労働(残業)・休日労働は原則禁止されています。

36協定を提出しているからといって、勤務時間を超えて働かせてはいけません。高校生は36協定の適応範囲外です。

また、22時〜翌5時までの深夜労働は禁止です。農林水産業等の一部例外は認められています。

5. 休憩・休日の確保

労働時間が6時間を超える場合は45分以上、8時間を超える場合は1時間以上の休憩を与える必要があります。これは高校生に限られたものではありませんが、イメージは2時間ごとに15分の休憩です。

また、毎週少なくとも1回の休日または4週で4日以上の休日を与える必要があります。

6. 年少者(18歳未満)の就業制限業務

法令で定められた危険有害業務は禁止されています。

重量物運搬、クレーン・ボイラー操作、危険な機械操作、放射線、毒劇物取扱い、高所作業、坑内労働、深夜業、接待業務(風俗営業等)

そして重要な点として、職場ごとに「年少者労働者名簿」の備付けが義務になっています。

【年少者労働者名簿】とは、18歳未満を雇う会社の「必須の書類」です。
記載内容は以下のとおりです。
氏名・生年月日(年齢)・住所・従事する業務の内容・雇い入れの日・労働契約の期間 など

7. 健康診断の実施義務

一般的な採用であろうと、高校生の採用であろうと、雇入時健康診断が義務になっています。

それと同時に一般的な雇用の場合は、年に一度の健康診断を受けさせる必要がありますが、高校生の場合は雇入時健康診断の内容が厳しくなると同時に、半年に一度の健康診断を受けさせる必要があります。

8. 労働条件の不利益変更・解雇制限

高校生の場合は当然未成年なので、親権者に強い権利があります。その一つとして、親権者が未成年者の労働契約を解除する権利(民法上)というものがあります。

また、解雇や労働条件の変更には、成人よりも慎重な対応が求められる場合が多いです。

9. 労働基準監督署への届出義務(場合により)

年少者を深夜業・危険業務等に就かせる場合は必ず事前に監督署へ届出が必要です【原則禁止】

例外が認められる条件

  • 男子で16歳以上18歳未満
  • 船舶・鉄道・電気通信・新聞など、特殊な事業
  • 事業の性質上やむを得ない場合
  • 所轄労働基準監督署長の許可がある
  • 自然災害で緊急対応が必要な時(これは男女ともに認められる)

10. 労働保険・社会保険

ここは一般的なものと違いはありません。

雇用保険、労災保険は高校生でも要件該当時は必ず加入する必要があります。健康保険・厚生年金も週所定労働時間20時間以上等、一般の条件と同じです。

11. 学校推薦・許可に関する注意

新卒採用(新規学卒者)は学校推薦状・進路指導・就職内定のルールがあります。

また、「一人一社制」など独自ルールもあるので、各高校の進路指導方針を必ず確認しないといけます。

ここに関してはまた別途詳細をまとめた記事を作成します。

12. 労働者名簿・年少者名簿の作成と保存

通常の労働者名簿に加え、6番で記載した年少者労働者名簿の作成と3年間保存義務があります。

高校生採用のポイント3つ

労働時間・労働条件の厳守

労働時間や労働条件を厳守することは当然誰にでも求められるのですが、高校生に対してはより細心の注意を払ってください。

上述しているように、高校生(18歳未満)は大人と比べて労働時間や深夜労働、休日出勤などに法律上の制限が多く設けられています。

「うっかり大人と同じシフトを組んでしまった」「繁忙期に長時間労働させてしまった」などがないよう、必ずシフト作成や業務割当時に法律を確認し、労働条件を厳守しましょう。

大人相手であれば、「ちょっと今日ごめんね!」で済むことが高校生相手だと認められません。

もし、相手から働きたいと言われた場合であっても、会社のリスクをしっかりと伝えて断りましょう。

適切な指導と安全確保

当然高校生は大人と比べると社会経験が浅く、労働マナーや安全衛生の知識も十分でないことがほとんどです。

仕事の手順や職場ルール、危険箇所や緊急時の対応などは丁寧に指導し、質問しやすい雰囲気づくりや定期的なフォローをしていくことが大事です。

大人と同じ感覚で、「そのくらい知っているだろう」「知らなければ聞きに来るだろう」「見てればわかるだろう」は通用しないことの方が多いです。

また、事故やケガを防ぐためにも作業環境の安全対策や危険業務への就労制限を徹底しましょう。

保護者・学校との連携

保護者や学校との連携・報告をしっかり意識しないといけない理由はとてもシンプルです。

まずは当然、高校生は未成年なので、トラブルやミスが発生した際に自分だけで解決することができません。

万が一、仕事で体調を崩したり、トラブルが起きた場合、保護者や学校から「会社がちゃんと面倒を見てくれていない」と信頼を失うリスクがあります。

ひどい場合はクレームやトラブルにつながります。

また、高校生の本分はあくまで学業です。学校も本人の生活や成績、アルバイトの状況を知っておきたいと考えるでしょう。

会社としても、保護者・学校としっかり連絡を取っていれば、何か問題があったときにすぐ相談できて安心です。小さな会社ほど、一人ひとりを大切に扱う姿勢が信頼につながるので、ここは手を抜かずに意識していきましょう。

終わりに

今回は高校生を採用する際に大切なルールをまとめていきました。

働く環境を整備すること、取り決めを守ることは高校生に限らずトラブルを回避するためには必須です。

しかし、相手が未成年となるとよりその意識が重要になってきます。

今後の会社の長期的な発展のためにも若い人材の採用は必須です。素敵な労働環境を整えて、従業員の皆さんに活躍してもらいましょう。

併せて、働く環境づくりや、ルールづくりのための記事も読んでいただけると安心です。

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