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中小企業が知っておきたいハラスメント18選|企業のリスクとは

労務

昨今何かと話題に上がる〇〇ハラスメント。私も営業の現場で、そんなのあるんだと思うようなハラスメントの話をよく聞いてきました。

「正直ハラスメントなんて言ったもん勝ちじゃん」と思っている方も多いのではないでしょうか。

SNSが隆盛を極める昨今では、〇〇になんでも入れてハラスメントを作るのがブームかのように、日々聞いたことのないハラスメントが生まれています。

数年前までは笑って許されていた従業員とのコミニュケーションでも、これはハラスメントになるのでは?と頭を悩まされている方が多いのも事実です。

今回は、中小企業でも実際に発生するリスクが高いハラスメントを18個まとめていきます。

これを把握して、ハラスメントのリスクを回避しながら、円滑な社内コミニュケーションを測ってみてください。

ハラスメントとは

ハラスメントとは、職場内での立場や力関係、または個人の価値観・プライバシーを背景にした、相手を傷つけたり、不快な思いをさせる言動や態度全般を指します。

日本語で「嫌がらせ」と訳されますが、単なるいじめや暴言だけでなく、日常的な言動や無自覚な行動でも相手にストレスや精神的苦痛を与えるケースが含まれます。

中小企業では、少人数でアットホームな雰囲気がある一方、上司・部下・同僚・社長と社員の距離が近いことで「つい口が悪くなる」「昔からのやり方だから」と何気なく行った言動が、実はハラスメントだった…というケースが非常に多いのが特徴です。

ハラスメント18選

1. パワーハラスメント(パワハラ)

  • 職場の立場や力関係を利用した精神的・身体的な嫌がらせ
  • 例:暴言・過度な叱責・仕事を与えない・孤立化させる・無視
  • 距離が近い中小企業では無自覚に起こりやすく、訴訟リスク大

2. セクシュアルハラスメント(セクハラ)

  • 性的な言動・発言・態度による不快感や苦痛の強要
  • 例:容姿や服装のコメント、身体的接触、性的な冗談や噂
  • 「冗談」「昔は当たり前」で済まされない、法的防止義務あり

3. マタニティハラスメント(マタハラ)

  • 妊娠・出産・育休取得等を理由にした不利益や嫌がらせ
  • 例:退職・降格の強要、「また休むのか」等の発言
  • 人手不足の中小企業で起こりやすく、法的な保護対象

4. モラルハラスメント(モラハラ)

  • 継続的な言葉・態度による精神的な攻撃や無視、孤立化
  • 例:陰口、皮肉、過度な監視、悪意ある噂話
  • 被害者が孤立しやすく、深刻な労務トラブルに発展

5. アカデミックハラスメント(アカハラ)

  • 教育や指導の場で地位・権限を利用した不適切な圧力や嫌がらせ
  • 例:人格否定、高圧的な指導、仕事を奪う・孤立させる
  • 社内教育や新人研修でも発生リスクあり

6. マリッジハラスメント(マリハラ)

  • 結婚・未婚に関する揶揄や詮索、私生活への干渉
  • 例:「結婚しないの?」等の発言、未婚者への昇進差別
  • アットホームな職場ほど起きやすく、個人の尊厳を侵害

7. アルコールハラスメント(アルハラ)

  • 飲み会での飲酒強要や、断った人への圧力・宴席強制
  • 例:無理な一気飲み、酒癖の悪さを理由にした暴言
  • 昔ながらの風習が残る職場で起きやすい

8. SOGIハラスメント(SOGIハラ)

  • 性的指向・性自認に基づく差別や揶揄、アウティング
  • 例:LGBTQ+社員への偏見発言、本人の秘密を暴露
  • 無理解や偏見がトラブル・離職の原因に

9. ジェンダーハラスメント(ジェンハラ)

  • 性別役割や固定観念を押し付ける、性別による不利益扱い
  • 例:「女性だからお茶くみ」「男性だから営業」など
  • 古い価値観が残る職場ほど注意が必要

10. リモートハラスメント(リモハラ)

  • リモートワーク環境での過度な監視やプライバシー侵害
  • 例:カメラ常時ON強制、家の様子への詮索
  • 新しい働き方ゆえルール整備が遅れがち

11. カスタマーハラスメント(カスハラ)

  • 顧客や取引先から従業員への理不尽なクレームや強要
  • 例:暴言・土下座要求・SNSでの誹謗中傷
  • 従業員を守る会社側のルール作りが不可欠

12. マイクロアグレッション

  • 無自覚な差別や偏見に基づく発言・態度
  • 例:「日本語うまいね」「若いのにしっかりしてるね」等
  • 多様性推進の観点で放置できない課題

13. エイジハラスメント(エイハラ)

  • 年齢による差別・揶揄や役割制限
  • 例:「若いから無理」「年配だから頼りにならない」
  • 若手・高齢者どちらにも起き得る

14. 介護ハラスメント(ケアハラ)

  • 家族の介護や介護休業取得を理由にした嫌がらせ・圧力
  • 例:「また休み?」「仕事続ける気があるの?」など
  • 高齢化社会で増加傾向、法律で保護

15. パタニティハラスメント(パタハラ)

  • 男性の育児参加や育休取得への否定的発言や不利益扱い
  • 例:「男が育休なんて」「評価下げるぞ」
  • 男女平等や人材確保のための配慮が必要

16. シルバーハラスメント

  • 高齢社員への不当な軽視や雑用扱い、意見の無視
  • 例:仕事を任せない、役割を限定する
  • 年齢に関わらず公正な評価・役割分担が重要

17. アイデンティティハラスメント

  • 出自・国籍・宗教・障害等による差別や排除
  • 例:「外国人だから無理」「宗教の習慣は面倒」
  • 多様性社会における重大なリスク

18. SNSハラスメント

  • SNS上での誹謗中傷、監視、個人情報の無断公開
  • 例:社内チャットやグループLINEでの過度な詮索
  • オンライン時代の新たなハラスメントリスク

実際にあったハラスメント話

事例1:家族経営の工場でのパワハラ

業種:製造業(社員数15名)

概要
経営者の長男が製造現場の責任者として働いており、若手社員へのミスを毎日のように大声で叱責していた。「こんな簡単なこともできないのか」と人格を否定するような発言や、他の社員の前での公開叱責が常態化。
また、ミスをした社員には数日間仕事を与えず、朝礼で名前を挙げて「ダメ社員」と呼ぶなどの行為があった。
その結果、若手社員が体調を崩して退職し、他の社員も「自分もターゲットにされるのでは」と委縮。経営者には「昔はこれが普通だった」と改善の意識がなく、労働基準監督署への相談に発展した。

事例2:事務所内のセクハラ・マリハラ

業種:建設業・事務職(社員数20名・男女比1:3)

概要
男性上司が女性事務員に「結婚しないの?」「彼氏はいるの?」と繰り返し私生活を詮索したり、「そろそろいい年だし、家庭に入るべき」などの発言をしていた。
飲み会の席では肩を抱いたり、手を握るなどの身体接触もあった。女性社員が不快感を伝えても「冗談だよ」と取り合わず、周囲も「昔からこういう人だから」と見て見ぬふりが続いていた。
当事者がメンタル不調となり、家族の勧めで社外に相談し、会社がハラスメント対策委員会を設置するに至った事例。

事例3:カスタマーハラスメントによる離職

業種:小売業・サービス業(社員数12名)

概要
クレーム対応を担当する女性社員が、常連顧客から毎回大声で怒鳴られたり、個人の容姿や年齢に関する暴言を浴びせられていた。
店長に相談しても「お客様第一だから我慢して」「君の対応が悪いから」と言われ、会社側が守ってはくれなかった。
結果的に本人は精神的に追い詰められて1年で退職。会社はクレーム対応のたびに人が辞める状況となり、最終的に社内で「顧客対応マニュアル」を整備し、無理な要求には毅然と対応する体制づくりを始めた。

まとめ

今回は少しのトラブルでも大きな問題に発展しやすいハラスメントをまとめていきました。

ハラスメントの怖さは、相手がハラスメントと言えばハラスメントと認められる傾向が高いことです。

これを避けるには、しっかりとハラスメントに関する知識を身につけておくことと、社内で円滑なコミニュケーションを取り信頼関係を作り上げておくことです。

トラブルを未然に防ぎ、健康な企業経営を達成してください。

またこの他の記事では、労務トラブル対策には必須の就業規則に関する記事や、社労士と顧問契約を結ぶメリットをまとめています。併せて参考にしてください。

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