「貸借対照表」と聞いて、少し身構えてしまう方も多いかもしれません。特に建設業では、他業種にない独特の勘定科目や商習慣があります。本記事では、簿記初心者の方や、経理を兼任する社長の奥様にもわかるように、貸借対照表の基本と建設業ならではの見方のコツを、図解・事例つきで丁寧に解説します。
■ 建設業における貸借対照表の重要性
貸借対照表(B/S)は、経営状態を可視化する“健康診断書”のようなものです。特に建設業では、下記のような場面でB/Sの正確な理解が重要になります:
- 融資を受ける際に金融機関に提示
- 補助金・助成金の審査資料に必要
- 外注先や取引先との信用確認
- 決算後の税務対応や節税の判断
■ 貸借対照表(B/S)の基本構造を理解しよう
B/Sは、「資産」「負債」「純資産」の3つのブロックに分かれます。
- 資産:現金・売掛金・未成工事支出金など
- 負債:買掛金・借入金・工事未払金など
- 純資産:資本金・利益剰余金
貸借対照表は常に「資産 = 負債+純資産」が成り立つように設計されています。

■ 建設業ならではの勘定科目に注意!
建設業には他業種ではあまり使われない独特の勘定科目があります。代表的なものは以下の通り:
- 未成工事支出金:工事途中で発生した原価
- 完成工事未収入金:完成済で未回収の工事代金
- 工事未払金:工事関連の未払い経費
- 工事保証金:契約時に差し入れる保証金
これらを正しく処理・把握することが、信頼される経営につながります。
■ 数字をどう読む?チェックポイント一覧
- 流動比率:流動資産 ÷ 流動負債 × 100(100%以上が目安)
- 自己資本比率:純資産 ÷ 総資産 × 100(30%以上が健全)
- 借入依存度:借入金 ÷ 総資産 × 100(40%以下を目指す)
財務体質の「健全性」を測る指標を定期的にチェックしましょう。
■ 実例で読み解く!貸借対照表のサンプル解説
たとえば以下のような貸借対照表(抜粋)を見てみましょう:
流動資産 12,000千円
流動負債 9,000千円
純資産 3,000千円
借入金 7,000千円

この会社の流動比率は約133%でまずまず。ただし借入金の比率がやや高いため、今後の借入返済計画に注意が必要です。
■ よくある間違いと注意点【建設業特有】
- 未成工事支出金の残高が放置されたまま
- 工事未払金が通常の買掛金に混ざっている
- 借入金の返済スケジュールが反映されていない
これらは金融機関や税務署にマイナス印象を与える要因になります。
■ 金融機関や税理士が見るポイント
実際にB/Sを見るプロたちは、以下のような点を注視します:
- キャッシュ(現金)の残高と流れ
- 利益剰余金がプラスかどうか
- 長期借入金と返済計画の整合性
提出資料として「整っていること」「根拠が明確なこと」が大切です。
■ まとめ|B/Sは“使える道具”に
貸借対照表は単なる数字の羅列ではなく、経営を前向きにする「道具」です。まずは毎期チェックし、指標の変化に気づける体制を整えましょう。
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